2008年8月1日金曜日

ひゃくはち



「ひゃくはち」。108は除夜の鐘の数で人間の煩悩の数とされている。
そして、野球の硬球の縫い目の数も同じ108個なのだ。
野球のボールが生まれたのはもちろんアメリカであるから、
この数字の符合は偶然の一致ということになる。
本作では、108の煩悩をも抱えつつ真摯に生きている
若者たちの姿が活写されていて痛快である。

実は、この小説の作者は、僕の高校の野球部の後輩に当たる人なのだ。
個人的に面識はないが、或意味では身内のようなものでもある。
身内の贔屓目と楽屋落ち的な部分でポイント稼いでいる部分も
多少はあるやも知れぬが、本作がデビュー作となる彼の
この野球小説はほんとに傑作であると思う。
一気呵成に読みきって、高校のときの友達と
久しぶりにゆっくり語りあったような読後感を得ることが出来た。

一つ一つのエピソードは作者の経験をベースにしつつも
虚構の世界を構築するための創作的誇張がなされているけど、
そのベースにある高校球児の心情については、
かってないほどにといえるほど
極めてリアルかつリリカルに描かれている。
映画化もされるそうなので、映画も見に行こうと思う。
いやあ、早見君、楽しい小説をありがとう。

0 件のコメント: